国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)は、2025年7月2日に、岡山市およびデマント・ジャパン株式会社と、加齢性難聴に対する正しい理解の促進とその早期発見・早期対応の体制構築を目的とした三者連携協定を締結したことを7月28日に発表しました。

【概要】
この協定は、「City for Better Hearing(聞こえを支えるまち)」の実現に向け、地域ぐるみで“聞こえ”を支える仕組みを構築し、高齢者のQOL(生活の質)向上と持続可能な地域社会の形成を目指すものです。
具体的には、聴覚検診車「Audika GO(オーディカ・ゴー)」を活用したスクリーニング、難聴が疑われる方への受診勧奨、補聴器装用のための専門人材育成、効果検証、そして正しい理解の普及啓発などに取り組みます。
2025年7月2日に岡山市役所本庁舎で行われた調印式には、岡山大学の那須保友学長、岡山市の大森雅夫市長、デマント・ジャパン株式会社の齋藤徹代表取締役社長が出席し、協定書への署名が交わされました。
さらに、岡山大学病院の前田嘉信病院長や、Audika株式会社の木下聡代表取締役も同席し、本取り組みに対する期待を共有しました。

協定締結に際し、那須学長は「地域に根差したSDGs推進研究大学として誰一人取り残さないCity for Better Hearingの実現に取り組み、岡山から世界に向けて、新たな聞こえ支援モデルを発信してまいります」と述べています。
また、大森市長は「聞こえに関する支援体制を地域で築けることを大変心強く感じています。市民の耳の健康と健康寿命の延伸につながるよう、普及啓発から早期対応まで着実に取り組んでまいります」と話しました。
さらに、齋藤社長は「三者で連携し、聴覚検診や普及啓発活動を実施し、耳鼻科受診や補聴器の装用率向上につなげるなど、聴覚ケアを推進することで、City for Better Hearingの実現に全力で取り組みます」と意気込みを語りました。
この三者連携協定の国際的な意義を象徴するものとして、駐日デンマーク王国大使館からトーマス・ホイルンド・クリステンセン経済外交保健医療分野担当公使参事官および吉元美帆上席商務官が調印式に臨席。
北欧デンマークにおける補聴支援の先進事例と本取り組みの親和性を強調するとともに、今後のさらなる国際連携に期待する旨の祝辞がありました。
岡山大学では、令和5年度に岡山大学病院内に「聴覚支援センター」を設置し、医療・福祉・教育の分野を横断した総合的な支援体制の構築を進めています。
この協定は、そうした取り組みをさらに発展させ、自治体・大学・企業の三者が一体となって、加齢性難聴という社会課題に向き合う全国的にも先進的なモデルの構築を図るものとなります。
また、岡山大学は2023年度に文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択され、「Human Health(人の健康)」および「Community Health(地域の健康)」の実現を推進しています。
今回の協定は、その理念を地域から実現する具体的な取り組みとしても位置づけられます。

調印式当日は、特別企画として聴覚検診車「Audika GO」の実車展示と、聴覚検診のデモンストレーションも行われました。
参加者は実際の支援技術を体験するとともに、今後の活用に向けた意見を交換しました。

今後、岡山大学は本協定に基づき、地域と国際社会をつなぐ実践的な共創モデルとして、聞こえにやさしい社会の実現に向けて取り組みを加速していくとしています。

