北海道大樹町(町長 黒川豊)とSPACE COTAN株式会社(本社:北海道広尾郡大樹町、代表取締役社長兼CEO:小田切義憲)は、民間にひらかれた宇宙港「北海道スペースポート(以下、HOSPO)」プロジェクトの資金として、2023年4~9月に、北海道内外の21社から、企業版ふるさと納税で合計1億1,210万円の寄附を受けたことを2023年10月30日に発表しました。
この中には、北海道、関東を中心に46店舗を展開しているメガネサロンルック(株式会社ルック・ヒライ)が含まれています。

「宇宙のまち」を掲げる大樹町では、HOSPOの施設を拡充するハード整備(航空公園機能拡充事業)と、町内に進出した宇宙関連企業をサポートするソフト支援(航空宇宙関連ビジネス推進事業)を2本柱にプロジェクトを推進しています。
今回の寄附の内訳は、ハード整備に3,410万円、ソフト支援に7,800万円の支援が行われました。
これにより2020年4月〜2023年9月までの合計で、延べ185社、23億4,855万円の支援が集まったこととなります。

大樹町とSPACE COTANは、ビジョンである航空宇宙産業の集積「宇宙版シリコンバレー」の実現を目指し、宇宙港の整備と宇宙関連のビジネス支援を進め、日本の宇宙産業を支えるとともに、宇宙産業による地方創生を推進していくとしています。

 

【民間の宇宙ビジネス本格化、民間が使えるロケット発射場の整備を推進】
現在世界の宇宙産業市場は民間プレイヤーの参入により成長産業として市場拡大が進んでいますが、宇宙空間に人工衛星等のモノや人を運ぶ宇宙輸送分野においても、米国Space Xのように民間のロケット事業者の参入が相次いでいます。
これにより、従来はロケット発射場も政府専用でしたが、民間が利用できるロケット発射場等を備えた宇宙港の必要性が増しています。

HOSPOは世界そして民間にひらかれた宇宙港として、2022年から新たに人工衛星用ロケット発射場Launch Complex-1(LC-1)と滑走路延伸の工事を進めており、整備財源には企業版ふるさと納税、残り半分を内閣府デジタル田園都市国家構想交付金(地方創生拠点整備タイプ)を活用します。
大樹町とSPACE COTANは今後も引き続き整備資金として企業版ふるさと納税の募集を行っていくとしています。

 

【急成長する宇宙産業。課題はロケット発射場(宇宙港)の不足】
世界の宇宙市場は、民間宇宙ビジネスの拡大や安全保障領域の重要性の高まり、衛星コンステレーションを活用した小型人工衛星のサービスの普及により、2040年には現在の3倍近い110兆円を超える巨大市場に成長すると予測されています。
小型人工衛星の需要を受けて、小型人工衛星を宇宙に運ぶための宇宙輸送サービス(ロケット等)の需要も高まっていますが、宇宙輸送サービスは需要に対して不足しており業界のボトルネックとなっています。
国内では、基幹ロケットの打ち上げ回数が年数回と少ないため(2022年度 日本打ち上げ回数0回)、民間の商業衛星はSpace X等の海外ロケットに依存している現状です。
そんな中、国内では2023年6月に閣議決定された宇宙基本計画(1)に基づき、他国に依存することなく宇宙へのアクセス確保・自立的な宇宙活動の実現と、その具体的な政策として文部科学省による民間スタートアップを支援する制度「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金)(2)」で宇宙輸送分野に5カ年・350億円の予算が配分され、1社最大140億円が交付されるなど、民間のロケット開発・実用化を支援する動きが始まりました。
採択企業のうち、インターステラテクノロジズ社やSPACE WALKER社もHOSPOでの実験・打ち上げを希望しており、民間が利用できるロケット発射場の必要性がさらに増しています。

*1:内閣府 宇宙基本計画、宇宙基本計画工程表(令和5年6月13日改訂)
*2:文部科学省 中小企業イノベーション創出推進事業 SBIRフェーズ3基金

 

【アジアの宇宙ビジネスの中核拠点化を目指す「北海道スペースポート」】
HOSPOは、国内外の民間企業等を対象としたロケット発射場やスペースプレーンの発射場・実験場を整備し、航空宇宙産業のインフラとして打上げ支援を行います。
現在日本国内でもいくつかの宇宙港の整備・計画が進んでいますが、HOSPOは民間企業等誰もが使える垂直/水平型等の多様なロケットに対応した国内唯一の「複合型」の宇宙港です。
垂直型のロケットが世界のメインストリームですが、垂直型で民間企業が使える宇宙港は国内ではHOSPOのみです。

HOSPOでは政府・民間企業・大学等の航空宇宙実験が年間30件程度行われ、既に民間ロケットスタートアップの観測ロケットが宇宙空間に到達する等の実績を有しています。
2022年から民間の人工衛星用ロケット発射場「Launch Complex-1(LC-1)」 と次世代モビリティの実験を可能とする滑走路延伸工事を開始しました。
LC-1完成後は、インターステラテクノロジズなど国内外の事業者による人工衛星用ロケットの打上げを予定し、延伸後の滑走路はサブオービタルスペースプレーンのほか、空飛ぶ車やドローンなどの次世代エアモビリティの実験等に使われます。
HOSPOはアジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点化を目指し、国内外から多くのロケット打上げ事業者を受け入れるため、今後はさらに高頻度の打上げに対応するための発射場「Launch Complex-2(LC-2)」の整備やP2P輸送(高速2地点間輸送)用の3,000m滑走路新設も計画しています。